Interview
#36

「毎日楽しくてしょうがない」
マルチに活躍するクリエイター
好き、がビジネスになるくらし

横町 健さんKEN YOKOMACHI

anea Group CEO

1973年生まれ、東京都出身。2008年に内装デザインを手掛ける株式会社anea designを設立し、「anea cafe」をオープン。現在、参宮橋、中野新橋、白金、八丁堀、松見坂の都内5店舗を運営。2016年に塊根植物を中心としたショップ「BOTANIZE」を代官山にオープン。2022年6月にはBOTANIZE表参道店がオープン。現在は国内の若手アーティストの支援に力を入れ、ギャラリーでの紹介やコラボレーションを行う。Instagramのインフルエンサーとしての発信にも注目が集まっている。
https://www.instagram.com/aneaken/

「とにかくハマり症で、好きなものができたらすぐ収集です」と笑顔で教えてくれた横町健さん。塊根植物好きが高じてコレクターになり、現在は、ポップアップ、有名ブランドとのコラボなどを多数仕掛け注目されています。しかし、もともと横町さんは「anea cafe」という人気カフェを運営し、デザイン事務所を経営するなど多方面で活躍してきたマルチなクリエイター。多彩な領域にわたる活躍は、どのようなくらしから生まれるのでしょうか?

居酒屋のアルバイトを経て
起業を決意

横町さんが企業を決意したのは23歳の時。もともと人を喜ばせるのが好きで接客業に興味があり、学生時代に居酒屋でアルバイトをしていた時にはその働きぶりから副店長を任せられていたそうです。

「常連のお客様が8、9割というお店だったのですが、僕は全てのお客様の下のお名前とファーストドリンクを覚えていました。店の中から外を見て、歩いてくるお顔が見えた瞬間にキッチンにオーダーを通して、席にご案内した瞬間におしぼりとドリンクをお出しする、みたいな(笑)。みなさん、すごく喜んでくださって」

当時の社長に、「本気で営業やったら月の売り上げを倍にする自信があるので、給料倍にしてください」と直談判もしたこともあったとか。

「店長は『絶対無理だよ』と言っていましたが、実際売り上げを倍にしてみせたんです。その時、これはずっと人に使われるんじゃなくて、自分で起業して、自分の店で全力を出したいと思いました」

横町 健さんイメージ
横町 健さんイメージ

理想とするカフェを
作るために

起業にあたり、カフェが好きだったという横町さんは、犬と一緒に入店できるカフェを開業しようと構想します。

「ドッグカフェっていうと、逆に『ワンちゃんと一緒じゃないと入れない』みたいなイメージもあるじゃないですか。そうではなくて、普通のカフェなんだけどワンちゃんも入れて、お料理もしっかりしていて内装もかっこいい。僕が目指したのはそんな店でした」

そのため、横町さんは「和食とイタリアンが分かっていればカフェの料理はできる」と、昼はイタリアン、夜は和食の店で料理人としての修行をスタートします。

「それが4、5年くらいです。あと実際にカフェの現場を知らないといけないと思ったので、カフェでも仕事をして経験を積みました。同時に自分の店は自分で設計したいので、働きながら専門学校に入り直して、デザインと設計ができる資格も取りました。締めくくりは飲食専門のコンサルタント会社に入社して、会社の運営方法やいい物件の見極め方などを学びました。全部自分でやらないと気が済まなかったんです」

料理、設計、運営、全ての現場でノウハウを学びながら起業の構想を練る、足掛け10年の一大プロジェクトでした。

横町 健さんイメージ

究極の「ゼロイチ」人間である
ことが発覚

2008年、自分のカフェを作るためにわざわざ内装のデザイン会社anea designを立ち上げます。ついに念願のカフェがオープン、となったものの……

「オープンする1秒前に僕はテンションが頂点に達しちゃって(笑)。自分は『ゼロイチ』人間なんだな、と思いました。箱は作ったので、あとはスタッフに盛り上げてもらって、『イチ』を最大化してくれ、という感じ。『anea cafeで働きたい』と言ってくれる子たちの働く場所も用意したかったし、すぐに2店舗目の物件選びに入っていました」

そして順調に店舗を拡大していた横町さんが、塊根植物の世界に出会ったのは2014年ごろのこと。知人の事務所でたまたま見かけ、一目で虜になったと言います。

「もともと僕は小学生時代にサボテンにハマっていて、お小遣いを全部サボテンに注ぎ込んでいた程でした。中学生になったら色気づいて収集をやめちゃったんですが、塊根植物を見たらかつてのサボテン少年の情熱がブワーっと再燃しちゃって。ユーフォルビアのオベサという種類が特に気に入り、ネットで調べて買いまくってしまいました」

入手した塊根植物たちをInstagramにアップするようになるとそれが注目され、やがて「買いたい」という声も聞かれるように。これはビジネスになると直感し、すぐにECサイトを立ち上げ、その一年後には代官山にプランツショップ「BOTANIZE」の一号店をオープン。この植物の魅力を伝えようと、ポップアップショップやコラボを熱心に仕掛け、認知を広げてきました。

「ここ3、4年でずいぶん塊根植物は認知されてきて、扱うショップさん、業者さんも増えました。するとまたゼロイチ人間の血が騒ぎ出して(笑)。今は、僕がアート好きということもあって、ギャラリーを作って若いアーティスト支援をする活動に力を入れ始めています」

横町 健さんイメージ

ビジネスはいつも
「好き」から始まる

優れたビジネスセンスで多くの事業を展開してきた横町さん。その感度はどのように磨かれたのでしょうか?

「僕、あえてキャラクター的に『お金大好きです(笑)』なんて言うこともありますけど、実際、一番最初は無欲なんですよ。塊根植物も、とにかく好き、集めたいと言う収集欲がきっかけでした。今も、つい先月くらいから、旧西ドイツで1960〜70年代くらいに作られたあるメーカーの、ある模様の花瓶にものすごくハマってしまって、世界中のありとあらゆる世界中のインテリアショップ、骨董品屋のサイトで片っ端から買い漁っちゃったんです。だから今、僕の恵比寿の事務所には300個くらい花瓶が並んでて……」

それをInstagramにアップすると、またもやユーザーから「買いたい」という声が。たまたま名古屋でBOTANIZEのイベントがあったため、3、4個その花瓶を持ち込んだところ、瞬く間に売れてしまったそう。

「事務所に世界中から木箱が届くとスタッフたちは『また始まった』って呆れるんだけど(笑)。でも実際に売れてるところを見て納得してくれてるみたいです」

横町 健さんイメージ
横町 健さんイメージ

人を喜ばせ、
人生を楽しみ続けていきたい

多忙な毎日を送る中で、くらしを楽しむために気をつけているポイントを伺いました。

「仕事が大好きなので、365日休みはいらないと思ってるんです。そもそも僕は毎日楽しくてしょうがないですよ。スケジュールは詰まってますけど、今日は何しようかな、って感じ。次の日が楽しみすぎて、頭がフル稼働しちゃって夜もあんまり寝付けないです」

そんな多忙な中でも、ここ十年ほど続けているのがブラジリアン柔術。稽古時に頭が真っ白になり心身ともにリセットされることが、横町さんの元気を支えているそうで、「あれがなかったらぶっ倒れてるかもしれない(笑)」とか。

毎日、常に全力でくらしを楽しんでいる横町さんに、今後の目標を聞きました。

「僕にとってはやっぱり、人を喜ばせることが一番の生きる源だと思います。ずっとそれが仕事のモチベーションで、これからも変わりません。あと、子どもの頃に抱いた夢で、時間とお金が許す範囲でできることなら全部やろうと思ってます。湖のそばに別荘も欲しいし、『乗りたい』と思った車は買いたい。もちろん家族に迷惑はかけない範囲内で、ですが(笑)。後悔のない人生を送りたいですね」

横町 健さんイメージ
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KEN YOKOMACHI Everything Has A Story