Interview
#01

〝小学校年生が
無農薬米作りに挑戦〟

大好きなお米をもっとおいしく、
もっとたくさん作りたい

新宅 佑輔くんYUSUKE SHINTAKU

お米大好き小学校3年生

2013年、兵庫県生まれ。両親と兄の4人暮らし。犬や鳥、めだか、エビなどのペットに囲まれて暮らしている。食べることが大好きで、特にご飯は大好物。また、元ラグビー日本代表福岡堅樹選手と現日本代表中島イシレリ選手の大ファンでもあり、ラグビーは観戦だけでなく、地元の少年チームに参加し、休日は練習や試合に熱中している。

ご飯が大好きな小学3年生の新宅佑輔君。好きが高じてなんと「自分でお米を作る!」と決意。もちろん米作りはすべてが初めての経験でしたが、家族をはじめ農家さんたちの温かなサポートを受け、見事収穫までたどりつきました。米作り体験は、佑輔君をひと回りもふた回りも成長させてくれたようです。

ご飯大好き少年が
無農薬のお米作りに挑戦

「とにかくご飯が大好き!とってもおいしいお米を中井さんからわけてもらって食べてるから、もうほかのお米は食べられないんよ!めっちゃ、おいしいから。ご飯の味がちゃんとわかるように、卵かけご飯とか、塩をかけて食べるのが好きなんやけど、ゆかりをふりかけるのもおいしいんよ」

眼をキラキラさせてご飯好きを豪語する新宅君は、小学3年生。好きなお米がどうやってできるんだろう?という純粋な疑問から、実際に米作り体験をしてみようと決意し、初めての米作に挑戦しました。

新宅君のお母さんによると、新宅家では、子どもたちが小学3年生くらいになったら、自分でやりたいと思うことをサポートして、やらせてみようというのが教育方針だそう。ちょうど通っている小学校でも夏休みの宿題に自由研究があったので、お米作りの体験を課題としても提出することにしたそうです。

「日頃から子どもには『熱意は磁石』と言ってきました。自分がやりたい!と、熱意を持って頑張ってやっていれば、不思議と磁石に吸い寄せられるように、助けてくれる方やチャンスが訪れると思うんです」
お母さんは、そう新宅君に教えていたそうです。すぐにお米作りを体験させてもらえるところは見つかりませんでしたが、あれこれ2人で悩み、相談した結果、とても強力な助っ人が協力してくれることに。

「お兄ちゃんが、農家の中井さんから蜂について(養蜂)教わってたから、お母さんが相談してくれたの。いつも中井さんのめっちゃおいしいご飯を食べてたから、お米作りを教えてもらいたいなって思って」

新宅 佑輔くんイメージ

経験をしたことで
お米作りの大変さを実感

最初のうち中井さんは、なかなか首を縦に振ってはくれなかったそうです。今まで農家以外の人を受け入れたことはなく、ましてやそれが小学3年生といえばなおさらのこと。それでも何回かの話し合いの結果、休耕田の一部を貸してもらい、全面的に米作りのサポートもしてもらえることになりました。

「佑輔も私も、田んぼって1年中水が張ってあって、お米はその中で育つと思ってたんです。でも、実際にやってみたら違っていて…。そんなところから、すべてが勉強。米作りの第一歩は、借りた休耕田に堆肥をまいて、トラクターで堆肥と土を混ぜる〝田起こし〟という田植えの準備作業からでした」とお母さん。

作業の中で、新宅君はトラクターに乗ることもあり、横には中井さんがつきっきりで指導。初めてのトラクター運転に、近くで見ていたお母さんは不安もあったと言いますが、米作りの重要な作業の一貫だったので、思い切って体験をさせたと話してくれました(トラクターの運転は私有地内のみ)。基本的に米作りの作業は週末に行うことになっていましたが、学校行事などがあって週末に行けないときは、学校帰りに田んぼに寄ることもしばしば。植物相手の仕事は待ったなしで、作業を先延ばしにはできません。

「途中で作業がいっぱいあって疲れちゃったこともあったんやけど、お母さんに言うたら『あなたの田んぼでしょう!』って言われちゃった。だから頑張ってやったんよ」

新宅 佑輔くんイメージ
新宅 佑輔くんイメージ

台風の直撃で大切な
稲穂の半数以上が被害に

新宅君が挑戦していたのは、50年前の米作り手法。
無農薬で育て、手作業が中心。その分、手間も負
担もかかり、田んぼに出かける日も多くなります。
新宅君が特に手こずったのが、雑草抜きでした。

「雑草は、抜いても、抜いてもはえてくるんや。めっちゃ大変だったんよ。少し田んぼに行かないと、いつの間にか雑草が大きくなってるし…」。
学校行事が忙しくて田んぼに行けない時は、お母さんや、そのお友だちも手伝ってくれたそうです。米作りは大変なことが多くて、心から『農家の人ってすごいなあ』と思ったとのこと。でも、中井さんをはじめほかの農家の人たちがやさしく教えてくれたり、手伝ってくれたりしたことは、新宅君にとって大きな宝物となりました。

たくさんの苦労をしながら、農作業に勤しむ新宅君の姿を見て、応援してくれる人たちがだんだんと増えたそうです。新宅君も作業に徐々に慣れ、収穫が待ち遠しくなっていた頃、予想外の出来事が発生しました。

「8月9日に台風がきたんよ。その間中、お母さんと一緒にずっと『どうか稲が倒れませんように』とお祈りをしてた。台風の後に田んぼに見に行くと、外側の稲穂はピーンと立ったままだったけど、内側の稲穂がたくさん倒れちゃって、すごく悲しかった。かかしも飛んでいってしまうほど、すごい台風だった」

新宅 佑輔くんイメージ
新宅 佑輔くんイメージ

将来目指しているのは
米作りもする料理人

初めてなのに自然の影響を大きく受けてしまった新
宅君の米作り。当初は300㎏の収穫を見込んでい
ましたが、収穫できたのはわずか45㎏。でも、今回
の米作りで農家の人たちの苦労を身をもって知り、
食物の大切さを学んだようです。

肥料を買うために足りなかったお金を、お母さんに
借りてたから、お米を売ってお金を返そうと思って
たのに、台風のせいで(収穫量が)減っちゃった、
だから今年は売ることはあきらめて、お世話になっ
た人たちとか、できたら買うからね!って応援して
くれた人たちに少しづつ配ることにした。そして来
年は、300㎏とれるように頑張ろうって思う!」

すっかり米作りの楽しさを知った新宅君。来年は絶
対に300㎏を収穫する、という意欲に燃えていま
した。子どもだからこそ、さまざまな新しい体験に
目を輝かせ、友だちも巻き込んで楽しい思い出に変
えていく。その証拠に、大変と話す新宅君の顔は、
どこか楽し気で、誇らしげな様子が見てとれます。

「米作りの方法や工夫点を、大きな紙にまとめて自
由研究の報告をしたら、先生にも『すごいね』っ
て言ってもらえてうれしかった。お米は300㎏
とれなかったけど、味は100点満点!」
そんな新宅君に将来の夢を聞いてみると、なんと
「レストランの料理人」。おいしい食材を自分で
育てて、料理して、お客様に提供する。そんなマ
ルチな農家兼料理人をぜひ目指してほしいですね。

新宅君の挑戦を、そばでずっと応援していたお母さん。「息子たちには、お料理を盛り付けるように、自分の人生にいろいろな彩りを加えて、心身ともに豊かな人になって欲しいと願っています」という愛情溢れる言葉の通り、ひと回りもふた回りも成長した新宅君。これからもやりたいことにまっすぐに挑戦して、もっともっと素晴らしい体験をしていくことでしょう。

新宅 佑輔くんイメージ
新宅 佑輔くんイメージ